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インドゾウはマークテストをクリアできるか?

鏡に写った自分の姿を「これ自分だわ」と認識できているかどうかを調べるテストとしてマークテストというものがあるそうです。

これは赤ちゃんでもお猿さんでも、本人に気が付かないうちに顔にシールや口紅で印をつけて鏡の前に座らせ、これに気づくかどうかを確認するテストだそうです。

この方法であれば、言葉を話せない赤ちゃんでもお猿さんでも、その印に手を伸ばすようであれば、目の前に写っているのが自分だと認識しているかどうかを知ることができる。

今日取り上げる論文は像を対象にこのマークテストを行ったものです。

明確ではないものの、巨大な鏡の前でのゾウの行動を見ると、たしかに顔につけられたバッテン印を鼻でなんども撫でる様子が見られるようです。

このことからゾウも鏡像自己認識できているのではないか、

またこのマークテストをクリアできる動物、類人猿やイルカ、ゾウはいずれも複雑な社会を作っていたり、またその中での利他的行動が見られることから、この鏡像自己認識というのはこういった社会行動の基盤になるものではないかということが述べられています。



「自己認識を測るものとして鏡像自己認識があるが、これはながらくヒトと類人猿だけが可能なものとされてきた。系統発生的にもヒトの個体発生的にも鏡像自己認識は共感や利他的行動と関係することが考えられている。ヒトと類人猿以外ではイルカと象がこういった能力を持っていると考えられており、イルカに関しては鏡像自己認識があること示されている。今回インドゾウを対象に実験を行い、鏡に対して自己認識可能かについてマークテストを行い検証した。一般に鏡を見た動物は以下の4つの段階を経て鏡像自己認識を行うとされている。(1)社会的反応(2)物理的な探索(鏡の裏側を見るなど)(3)鏡の前での繰り返しの行動による検証作業(4)鏡の前での自己認識。実験ではゾウに対して視認できる印と色のない印の両方をつけてその反応を観察した。結果、鏡の前でゾウは視認できる印に鼻で触るなど、身体に付けれた印を鏡によって認識している様子が確認された。こういった結果は類人猿やイルカ、ゾウに共通しており、このような鏡像で自己認識できる能力が複雑な社会や協業作業を可能にしていることが考えられた。」

参考URL:Self-recognition in an Asian elephant.

コメント

なんで鏡に写る自分を自分と認識できる能力が社会を作ることに繋がるのだろう。

鏡に写った自分を自分と感じるためには鏡の中の像を他者ではないと認識できなければいけなくて

この鏡像自己認知というのは裏を返せば他者認知がしっかりできるかどうかのテストで

他者認知の仕方は、自己の認知システムで他者のココロを仮想的に駆動することで

そうすると、他者がわかるというのは結局自分は自己をしっかり認識できるシステムがあることが前提で

書いているうちに頭がこんがらがってきた(T_T) 自分があるだとか他者が分かるっていうのはどういうことなんだ?

他人を見るにしても自分を見るにしても、人は自分の中から一歩も出れないんじゃないだろうか。

 

 

 

 

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