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カラスの社会性はどれほどのものか?

社会性を語る言葉の一つに「ずる賢い」という言葉があるのではないかと思います。

ずる賢いといえば「隠す」「盗む」「出し抜く」「騙す」いろいろありますが、こういうのはやはり一定の知力、推論能力、しっかりとした「心の理論」がなりたっていなければ難しいのではないかと思います。

ずる賢いといえばカラスがその代名詞のように言われることがありますが、たしかにカラスの行動をみていると随分ずる賢そうです。

みつけたエサを誰にも取られないように隠したり、それを盗んだり、盗まれないようにフェイントを掛けたり、カラスの世界では随分な頭脳戦が繰り広げられているようです。

カラスは鳥類で、鳥類というと霊長類に見られるような大脳新皮質も殆ど無く、したがって知性もそんなにないんじゃないかというような気もしますが、カラスでは大脳新皮質ではない別の領域が発達して、こういった「賢さ」の発現を可能にしているようです。

今日取り上げる論文はこのカラスの知性、社会性についての総論になります。

このカラスのずる賢さを可能にする知性というのは、カラスの因果関係理解能力や予想力、さまざまな認知機能の組み合わせの中で発現してくるのではないかということが述べられています。



「知性の発達についてはながらく人の類縁に当たるサルや類人猿に焦点が当てられてきた。しかしカラスのような比較的大きい膿を持つ動物も物理的、精神的世界を理解していることが知られている。本稿ではカラス科における道具の加工や精神的な時間旅行、社会的な認知能力についてなされた近年の研究を取り上げる。そしてこのカラス科における複雑な思考が、因果関係の理解や適応性、創造力や予想力といったものからなる「認知の道具箱」によってなされている可能性について述べる。カラスもサルもともにこの「認知の道具箱」があるが、種も異なり、関連する脳の領域も異なる。この種を超えた認知能力の発達はサルにしろカラスにしろ似たような社会環境的な問題を解決するために脳が発達したため現れたのではないかと考える。」

参考URL:The mentality of crows: convergent evolution of intelligence in corvids and apes.

コメント

ずる賢いの反対はばか正直だと思うのですが

ゲーム理論で行けば、相手を出し抜くようなずる賢さ戦略はたしかばか正直戦略より利得が少なかったような気がして

短期的な関係で行けばきっとずる賢いやり方は儲けも大きいんだろうけど、長期的な付き合いでは、いずれ相手もされなくなって利得も少なくなる。

いろんな宗教で相手に与えなさいというようなニュアンスで利他性を説いているけど

これはこっちのほうが最終的に儲けがおおきいという利己性の文脈でそうなのか、あるいは純粋に利他的なのか

あるいは人の利他性というのは、相手が喜ぶのを見て自分も喜びの感情が湧き上がる、あるいは相手が苦しむのを見て自分の心も苦しくなるところからきていると考えるならば

利他的な行動というのは自分の喜びのため、あるいは自分の苦しみの軽減のために行うということになり

結局利他も利己も結局は利己かなという気にもなる。

良いことをするにしろ悪いことをするにしろ、自分の欲望をまっすぐに見つめることは大事なことかなというふうに思います。

 

 

 

 

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