
「動きとこころ:複雑な意図を持った動きの知覚と理解の機能的画像研究」
「空気を読む」という日本語がここ数年よく聞かれますが、この「空気を読む」というのは具体的にどういうことなのでしょう。
とりあえず空気を読むためには誰かしら相手が必要でしょう。
さらにいえば相手は一人でなく二人以上いるときにおそらく何らかの空気が醸しだされるでしょうし、さらにはその二人があれこれともにやりとりする中で更に濃密な空気が醸成されるでしょう。
つまり何が言いたいかというと「空気」というのはふたり以上の人間が何らかのインタラクションを持つとき立ち上がるのであって、インタラクションを持つべき相手がいなかったり、あるいはそこにインタラクションがなければ「空気」というものは立ち上がらないのではないかと思います。
ヒトの脳にはデフォルトでこの「空気(≒インタラクション)」を読み取るような領域があるようですが、今日取り上げる論文は丸や四角や三角形というシンプルな図形からでさえもその動きのパターンからこれら図形の醸しだす「空気」や「こころ」を読み取ることができ、その時にはやはり脳の中の「空気」を読み取る領域が働いていることが示されています。
ポイント
今回PETを使用して6人の被験者にコンピュータで作成した無声アニメーションを見せている時の脳活動について解析を行った。
アニメーションではシンプルな幾何学的な図形が複雑な意図を持っているような動きか、あるいはシンプルな動きを提示した。
結果、意図を持ったような動きを提示している時には内側前頭前野、頭頂側頭接合部(上側頭溝)、側頭葉基底領域(紡錘状回と扁桃体に近い側頭極)、外線状皮質(後頭溝)に活動の増加が見られた。
これらの領域は自己モニタリングや生物学的な動き、言葉や視覚を通じた心の理解に関わることが報告させており、この領域が他者の動きを理解し、最終的に心の理解に関わっていることが考えられた。
補足コメント
インタラクションうんぬんは動画を見ればイメージが湧くと思います。つまりは相互作用、互いのやりとりということで、脳の中にはこのやりとりから丸や三角の「こころ」を推し量るような機能があるようです。
1944年の実験動画のようですがよく出来ています。
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