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「自由意志と相関する神経活動は内在的/デフォルトネットワークの中の特殊な領域の活動と関連する」

自由というのは厄介です。

自由というのは自分で決めていくということで、これはこれで結構疲れます。いっそのこともう誰かに決めてほしい、自由にやるより言われたとおりにやっている方がよっぽど楽だと思うこともあると思うのですが、「自由」に関わる脳活動というのはあるのでしょうか。

今日取り上げる論文はこの「自由」に関わる脳活動を調べたものです。

実験は自由にボタンを押している時と言われたとおりにボタンを押している条件で脳活動を比べたのですが、自由に押している時は脳の中のある部分が強く働いており、この部分が自由意志と関係しているのではないかということが述べられています。

【要旨】
近年脳の中には外在的システムと内在的システムの二つの大きなシステムが存在することが報告されている。前者は外側の環境の情報を処理するためのもので、後者は自分の心の中の情報のような内在的な情報を処理するものでデフォルトネットワークとも呼ばれている。今回の実験では被験者にまずある刺激を提示し、その刺激にしたがってボタンを押す課題(既決条件)とその刺激を無視して自分の押したいボタンを押す課題(自由意志条件)の二つの課題を行わせ、その時の脳活動を測定した。結果自由意志課題に関連して右下頭頂小葉の活動増大が認められ、かつこの活動増加は安静時に比べても大きいものであった。この結果から内在システムは自己に関連する情報の処理に関わるが、その中でも機能的に特化した領域があることが考えられた。

参考URL:Neuronal correlates of "free will" are associated with regional specialization in the human intrinsic/default network.

コメント

ややこしいので以下は読み流してもらっても良いのですが、もう少し詳しいことを書くと

要旨に書いてあるとおり、脳の中には外向きシステムと内向きシステムがあるようです。

外向きシステムが外部の状況を認知するのに働き、内向きシステムというのは自分の心の中の情報を処理するのに働くようですが、

この内向きシステムはデフォルトモードネットワークという名前でも呼ばれていて、今日取り上げた論文はこのデフォルトモードネットワークについて細かく見たものです。

このデフォルトモードネットワークはいろんな脳の部分が集まってできているのですが、その中でも自由に何かを決めるというような時には右下頭頂小葉と言われる領域が通常よりも強く活動しており、この部分が自由意志と関係があるのではないかという事が言われています。

ここと近い部分で右の側頭頭頂接合部の刺激で幽体離脱感覚が促されるという話も聞いたことがあり、

右下頭頂小葉~側頭頭頂接合部のあたりというのは自己主体感のようなものと関連するのだろうかということを考えました。

それにしても全部自分で決めなければいけないようなこれからの世の中と大概のことは社会や神様に決めてもらっていた昔の世の中のどっちが幸せなんだろうと思ったりします。

「自由」は扱いに難しいような気がします。

 

 

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