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「自伝的記憶、自己投射、ナビゲーション、心の理論と標準状態に共通する神経基盤:量的メタアナリシス」

カエサルを刺し殺したブルータスの例でもないのですが歴史というのは権謀術数にあふれています。

しかしながらカエサルを暗殺するために必要な知能というのはいったいどういうものでしょうか。

まず一つは暗殺者自身の記憶でしょう。こんな家に生まれてこんな武勲を上げてカエサルとはこんなふうなやりとりをしてこんな思いをしてきたという人生の記憶、これは心理学では自伝的記憶と呼ばれるものなのですが、こういった記憶が必要でしょう。

もう一つはカエサルの心を読み取るという能力も必要でしょう。この場面だったらさすがのカエサルも油断しているに違いない、そういった心を読む能力が暗殺には必要だと思うのですが、こういった能力は心の理論と呼ばれています。

さらにもう一つは頭のなかでシミュレーションを行うということも大事でしょう。暗殺の前にブルータスは何度も何度も頭のなかで予行演習をしたはずです。こういった未来の計画、シミュレーションといった能力が暗殺にはきっと欠かせないでしょう。

もう一つなにか挙げるとすれば暗殺者の心の基底を流れる心的感覚、なんにも考えていない時のボンヤリとした心の状態が権力欲や憎悪に彩られることが暗殺の十分条件になるかもしれません。

今日取り上げる論文は上記の認知機能と脳活動との関係について調べたものですが、こういった異なる心的機能が脳の中のある単一のシステムによってなされていること、

またブルータスに見られたようなこれらの心的機能はいわば「物語る」能力とまとめることが出来るのだけれども、進化の過程で脳がこの「物語る」能力を獲得し、それゆえ複雑な人間社会が形成されたのではないかということが述べられています。

【要旨】

脳の中核にあたるネットワークは様々な機能に関連することが示されており、具体的には記憶の想起や未来への展望、想像的な空間移動や心の理論に関係すると言われている。この内側前頭前野、内側側頭葉、内側及び外側頭頂葉から構成される領域は何もしていない時の標準的な脳活動とも類似していると言われており自己投射とも関係していると言われている。本研究では活性化尤度推定という手法を用いて過去に行われた研究を対象にメタアナリシスを行い(a)自伝的記憶 (b)ナビゲーション (c)心の理論 (d)標準状態の4条件の脳活動を比較した。結果従来言われていたような内側側頭葉、楔前部、後帯状皮質、脳梁膨大後部皮質、側頭頭頂接合部の上記4条件での関連活動が認められ、本研究では加えて外側前頭前野と後頭皮質の関連活動が存在することを示した。

参考URL:The common neural basis of autobiographical memory, prospection, navigation, theory of mind, and the default mode: a quantitative meta-analysis.

コメント

カエサルとブルータスの例や隣国同士、緊張感の高い夫婦の例でもないけれど

うまくいかないというのはきっと物語が共有できていないということだろう。

無論物語は物語であって真正な物語など、きっとどこにもないのだろうけど

どんな民族にも国作りの神話があるように、人と人が仲良くやっていくためには共通の物語というのが必要なんだろうなと思います。

その昔結婚式で出向いた北九州は小倉の居酒屋のカウンターで飲んでいた時

左に右翼を名乗る優しそうな青年が話しかけてきて「在日許せないですね」などど話をふってきて

初めて見る右翼だったのでこれは興味深いと思って話を聞いていると右側に座っていたおじさんが「実はわたし民族学校で先生をやっているんです」と言ってきて、はてこれは困ったと思ったのだけれども

どんないきさつか忘れたが、結局「おれたちガンダム世代だよね」ということで3人で小倉のガンダムバーに流れた思い出がある。

あのガンダムバーはまだあるんだろうか。

それはさておき物語を共有することは大事だし、アニメや漫画といったソフトカルチャーの力はすごいなと思いました。

よい物語を生きたいものです。

 

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