
「ヒトの脳におけるコミュニケーション能力と言語能力の乖離」
ヒトはコミュニケーションを取ることで相手と仲良くやっていくことができますが、このコミュニケーションを可能にするものとはいったい何なのでしょうか。
ひとつ考えられるのは言葉というものでしょう。相手に何かを伝えたかったらまず自分の思いを言葉にしなければいけない。相手の意図を聞き取るにも言葉を理解しなければいけない。さらには相手の心の中をあれこれ自分の頭で考えるときもやはり言葉というものが必要でしょう。
つまり自分の心を伝えたり、相手の心を汲み取ったり理解したりというところで言葉というのはとても大事な働きをすると思うのですが、それではコミュニケーション脳=言語脳と捉えることができるのでしょうか。
今日取り上げる論文はコミュニケーション能力と言語脳の関係について調べたものです。
結論を述べると相手の心を汲み取る脳活動と相手の言葉を理解する脳活動は必ずしもイコールではなく別々の脳の部分が関係していることが述べられています。
|
ポイント
・本研究では言語能力とコミュニケーション能力に関わる脳活動の関係について調査を行った。
・結果、発話内容の理解に関連して他者の心の推測に関わる内側前頭前野の活動増加が認められたが、この領域は言語の複雑さとの関連は示さなかった。
・これと対照的に左下前頭葉は言語の複雑さと相関した活動が見られたが、発話の内容に関連した変化は見られず、これらの結果からコミュニケーションに関わる脳活動と言語に関わる脳活動は分離できるものであることが考えられた。
参考URL :
A dissociation between linguistic and communicative abilities in the human brain.
コメント
男と女が海外旅行に言って
男のほうが少し英語ができたりして一生懸命聴きとるけどよく分からず困っている時に横にいる女の人のほうが相手の意図を汲み取って助けてくれるなんてシチュエーションはよくあるとおもうのだけれども
添付の図は男の子が言葉だけを介してコミュニケーションを取るのと女の子がいろんな情報のやりとりでコミュニケーションを取るのを戯画化したもので
コミュニケーションというのはやはり言葉だけでは役足らずなのかなと思いました。