「ミラーシステムとメンタライジングシステムによる他者の動作と目標の理解:メタアナリシス」
私達ニンゲンが持つ不思議な機能の一つに他人の心を理解するというものがあります。しかしながらこの心の理解というのはどういった形でなされているのでしょうか。
ひとつ考えられるのは見て取るような理解でしょう。
ボールを持った男の子がピッチングフォームに入っていたら今からボールを投げるんだろうなというふうに理解できるし、初めてあった他の会社の人がおもむろに胸ポケットに手を入れたらきっと名刺を出すんだろうなというふうに理解できる。
こういった見て取るような理解には脳の中でもモノマネに関わるようなシステムが働いていると言われています。なぜモノマネで相手の心が読み取れるかというと、無意識に相手の動きをモノマネすることで相手の意図を自分の意図のように感じ取る、そういった情報処理の流れがあるためと言われています。
しかしながら私達はなにも直接相手の動きを見なくても相手の心を理解することもできます。
これは例えば小説を読んでいても主人公の気持ちがハラハラとわかるようなときもあるし、あるいは一見何を言っているのか分からないような抽象的な現代芸術もあれこれ考えて製作者の意図というのを読み取ることができる。
こういった心の読み取りは頭を使って論理的に考えて理解するような心の理解の仕方であって、こういった心の理解は先に上げたモノマネシステムとは異なるシステムで処理されるそうです。
今日取り上げる論文は心の理解におけるこの2つのシステムの違いについて詳しく調べたものです。
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ポイント
・過去に行われた200本の研究から他者の動作を知覚してその意図を理解するような場合前頭頂間溝と運動前野からなるミラーシステムが関与していることが示された。また全身的な動きや視線から他者の意図を理解するときは後部上側頭溝が関与していることが示された。
・それに対し側頭頭頂接合部、内側前頭前野、楔前部からなるメンタライジングシステムは生物学的な動きによらない情報から他者の意図を読み取る際に関与していることが示された。こういった働きは他者の動作の最終的な目標の理解に関わることが考えられた。
・この身体的な情報から他者の心を理解するミラーシステムと非身体的な情報から他者の心を理解するメンタライジングシステムは相補的に活動していることが考えられた。他者の動きを見ている時にメンタライジングシステムが活動するような時というのは他者の動きが通常想定されるような動きとは異なるようなときであると考えられた。
参考URL :
Understanding others' actions and goals by mirror and mentalizing systems: a meta-analysis.
コメント
このモノマネシステムは正しくはミラーニューロンシステムというそうで、上に書いたように見て理解する、見て覚えるといった働きに関係するそうです。
もう一つの考えて相手の心を理解するというようなシステムはメンタライジングシステムと呼ばれていて理詰めで人の心を推測するような、そんなシャーロック・ホームズのような脳のシステムです。
現代美術を読み解くのはあまり得意でなく、解説書を読んで「ああ、なるほど」と思うことはあるのですが、それで感動できるほどの感受性はなく
つねづねヒトは考えることで感動できるのかと思うのですがどうなんでしょう(-_-;)