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右下頭頂葉と自己認知

どんな社会にもキーとなるような人間がいます。

街の床屋さんでもないのですが、いろんな情報が集積してそしてそこから散っていく、そういうポイントに立つ人間がいると思うのですが、これは脳でいうとどの辺になるのでしょうか。

添付の図を見て頂ければ分かるように、触覚(touch)、視覚(visual)、聴覚(auditory)といった情報が集積するポイントがあります。

上図参考URL:https://lh3.googleusercontent.com/vTQpD7Xko512K_PlRUDC4dhVo7R_9jaVx_HKnCecJ4BAHYInp5hvJ_265S_0WkJUpc0h_A=s124

ここは下頭頂小葉と呼ばれているのですが、右脳のここに電気刺激を加えると体外離脱体験を引き起こせることが知られています。

そのほかにもこの部分が損傷されると自分の身体や顔を自分のものと認識できなくなったりという症状がでてきたりすることから、この領域が「わたし」という感覚を持つ上で重要な場所ではないかということが言われてきたようです。

今日取り上げる論文は、この右脳側の下頭頂小葉に電気刺激を加え、自分の顔をしっかり自分として捉えることが出来るかどうかについて調べたものです。

やはりというか、この刺激で自分の顔を自分のものとして捉える能力が低下し、やはりこの領域は自己認知に重要なのではないかということが述べられています。

 

【要約】

自己と他者を区別する能力は社会性の基盤になるものだが、その神経学的基盤に関しては明らかにされていない。前回行った研究では右の前頭―頭頂ネットワークが自己と他者の区別に関わることを示した。今回の実験ではこの前頭―頭頂ネットワークの一部に対して反復的経頭蓋磁気刺激を加え、一次的にその機能を阻害して、自己認知能力に変化があるかどうかを調べた。実験では右の下頭頂小葉に1ヘルツの刺激を与えたところ、自己と他者の顔認知能力に低下が見られたが、左の下頭頂小葉への刺激では変化が見られなかった。このことからこの領域が自己認知に関わることが考えられた。

参考URL:rTMS to the right inferior parietal lobule disrupts self-other discrimination.

コメント

ここから先は少しややこしい話です。

この右下頭頂小葉にいろんな感覚情報が集まってくるのは分かる。

でもなんでこの部分が「これは自分」という認知に関わるんだろうと考えると、よくわからない。

この実験では画像処理を使って、自分の顔を他人の顔に変形していって、どのへんまでが自分の顔と認知できるかを見たものだけれども

つまり自分と他人の区別能力を測ったものだけれども、なぜ右下頭頂小葉が自分認知かというと

この領域は「わたしはわたし」という感覚に重要なデフォルトモードネットワークと楔前部で接続していて

楔前部は記憶領域と接続していて全体で見ると以下の仕組みになっているんじゃないだろうか

ミラー・ニューロンネットワーク ↔デフォルトモードネットワーク
(いろんな感覚情報→右下頭頂小葉)↔(楔前部↔記憶領域)

つまりいろんな感覚情報は「わたし感覚システム」であるデフォルトモードネットワークと照会されて、はじめて「これはわたし」という感覚が立ち上がってくるんじゃないだろうか。

で、この右下頭頂小葉がデフォルトモードネットワークとの接続窓口になっている。

ご意見頂けたらと思いますm(_ _)m

 

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