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失行症状と運動イメージ、頭頂間溝の関係

今日取り上げる論文は運動失行と運動イメージとの関連について調べたものです。

結論を述べると
① 運動失行は運動イメージが障害されている状態である
② 運動失行は左頭頂間溝の損傷との関連性が高い

ということになるのかと思います。
遺伝子検査のジーンライフ<Genesis2.0>

たとえば目の前のドライヤーを見れば、これが髪を乾かすものだということは分かるのだけれども、それを実際の運動につなげていくためには、ドライヤーを使いまわしている運動イメージをまず喚起してこなければいけなくて、そこのところでうまくいかないのではないかということが述べられています。

【要旨】


「運動イメージは、運動の計画段階との強い結びつきがある。運動イメージは、運動を行った結果を予測する内部モデルであり、目的とする動作を達成するために具体的にどのように体を動かすのかを指定するようなものである。本研究では、ジェスチャーや道具の使用が困難になる失行症状というものは、運動イメージの生成に問題がある状態であると捉え、このことから以下の4つの仮説を引き出した。失行患者における運動イメージは(a)、運動要素と強い結びつきがあるが、この運動要素は対象物品の視覚的、触覚的、体性感覚的情報からは独立しており、(b)運動に関与する効果器や対象物品からのフィードバックは少なく、(c)運動計画システムにおいて障害されている。実験では失行症状を呈した8名の前頭-頭頂部脳卒中患者、失行症のない5名の脳卒中患者および6名の健常者を対象に運動イメージについての評価が行われた。結果、上記の予測は妥当であることが示された。また失行患者においては頭頂間溝が損傷されている傾向があった。この結果は失行患者の物品の使用と関連したジェスチャーや、模倣、および新奇なジェスチャーの学習の障害について十分な説明を与えるものになると思われる。」

参考URL:Deficient internal models for planning hand-object interactions in apraxia.

 

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