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「デフォルトモードネットワークの構成要素の機能的連結:相関性、逆相関性、因果関係」

宴会部長というのはどこの職場にもいるものだと思うのですが、トリックスター的な彼らの役割は一風変わっています。

仕事じゃない時ほどその本領を発揮して、仕事が立て込んでくると邪魔になってしまう、でも職場の円滑な運営には欠かせない、そんな微妙なポジションの宴会部長ですが脳の中には宴会部長的なものはあるのでしょうか。

脳の中にはいろんなネットワークがあるのですが、近年提唱されているものにタスクポジティブネットワークとタスクネガティブネットワークというのがあります。

タスクポジティブネットワークというのは名前の通り、何かタスク(仕事)をしている時にカッカと活動するようなネットワークです。

タスクネガティブネットワークというのはタスク(仕事)がない時ほどカッカと活動して、仕事が立て込んでくるとその活動を低下させてしまう、そんなネットワークです。つまりボーっとしている時ほどよく働くそんなネットワークです。

ではこのタスクネガティブネットワークが何もしていないかというとそんなことはなく、わたしがわたしである感じという「わたし」感覚や場の空気を読む機能、取りまとめのない思考、ひらめきといったものとも関連していると言われています。

このタスクネガティブネットワークは別名デフォルトモードネットワークとも呼ばれるのですが、今日取り上げる論文はこのネットワークが二つのネットワークに分けられることを示したものです。

 

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【要旨】
デフォルトモードネットワークと呼ばれる内側前頭前野と後帯状皮質から構成される領域は安静時に高い代謝活動を示し、課題遂行時にはそれを低下させることが知られている。

近年の研究からこのデフォルトモードネットワークは課題遂行時に活動を増加させるネットワークと強い逆相関の関係にあることが報告されている。このデフォルトモードネットワークは単一のネットワークと認識されており、このネットワークと逆相関関係にあるネットワークとの関連性を調べた研究は少ない。本研究ではこの逆相関関係について詳細に調査を行った。結果デフォルトモードネットワークは内側前頭前野と後帯状皮質を中心とするそれぞれ二つのサブネットワークに分けられること、また前者は頭頂葉の視空間関連領域と側頭葉の注意関連領域との逆相関係が強く、後者は前頭前野の運動関連領域と逆相関係が強いことが示された。これらの結果からデフォルトモードネットワークは異なる二つのサブネットワークから構成されており、その性質も異なることが示された。

参考URL:Functional connectivity of default mode network components: correlation, anticorrelation, and causality

コメント

集中できなくて仕事が手に付かないなんて状況はきっと脳の中の宴会部長が大活躍といった感じなんだろう。

このタスクネガティブネットワークはADHDやうつ病、自閉症との関連も強いようで追っていろんな論文を紹介していきたいと思います。

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